変わったこと、変わらないこと
不動産は需要と供給で決まります。火曜日の選挙は、今朝の購入者が手にできる供給を変えていません。需要が変わるかどうかは、その後の展開次第です。借入コスト、金融市場、そして国内外の購入者の信頼感がその鍵になります。現時点では、マンハッタンとマイアミの収支計算を直接左右するルールの多くはアルバニーとタラハシーで定められたものであり、価格を決めるのは今も物件そのものです。
2027年の購入者のための要点
- ワシントン:議会の勢力図が変わる見通しは市場の期待に影響し得ますが、大統領は拒否権を保持しており、連邦レベルの大型税制改正は依然として不透明です。
- マンハッタン:競合する高級物件の在庫が限られていること、そして既存のピエダテール付加税のほうが、多くの購入者にとっては選挙結果よりも差し迫った問題です。
- マイアミ:フロリダの所得税面での優位は変わらない一方、修正第3号(Amendment 3)と、物件ごとの保険料、税金、保有コストは慎重な精査に値します。
- 海外の購入者:為替の動き、金融市場、地政学的な不透明感は需要に影響し得ますが、試金石となるのは契約の成立です。
- 2027年の見通し:選挙結果が価格を動かすと決めてかかるのではなく、融資条件、新築物件の引き渡し、そして実際の取引動向に注目してください。
マンハッタンとマイアミ:2027年に購入者が注視すべき点
| 項目 | マンハッタン | マイアミ |
|---|---|---|
| 高級物件の供給 | 一部のトロフィー物件には、直接競合する物件が少ない | 既存の超高級物件の在庫は一部に集中しており、今後新規の引き渡しが控える |
| 州の所得税 | ニューヨークの居住者要件が納税義務に影響し得る | フロリダ州には州の個人所得税がない |
| セカンドホームのコスト | 対象となる物件にはピエダテール付加税が課される場合がある。税の詳しい解説はこちら | ホームステッド対象外の物件の固定資産税と保険料は、物件ごとの精査が必要 |
| 融資 | 金利と運用資産を担保とする融資が需要に影響し得る | 現金比率の高い高級市場でも、運用資産の価値と為替レートは引き続き需要に響く |
| 2027年の焦点 | 希少性、物件の状態、保有コスト、アルバニーの予算 | 新築コンドミニアムの引き渡し、建物の修繕積立金、保険料、税額の見積もり |
新議会では、民主党が下院と上院を支配する見通しです。未確定の選挙区があり、確定した結果はまだありません。大統領は拒否権を保持しているため、連邦レベルの大型税制改正は実現しにくいとみられます。購入者は、現行法を前提に判断すべきです。
それでもワシントンは重要です。11月4日には株価が上昇し、米10年債利回りは約6ベーシスポイント低下して、およそ4.89%となりました。これは言葉の印象以上に、現金購入者にとって意味があります。クロージングで動く資金の多くは、運用資産、またはそれを担保とする与信枠から出ているからです。そのため、株式の価値と融資条件は今も需要を左右します。議会と大統領の党派が分かれる状況では、予算や債務上限をめぐる対立が起こり、同じ市場を揺らすこともあります。税制が変わらないことは、金融面の安定を保証するものではありません。
両方の市場に共通する要素がもう一つあります。私の見方では、今回の結果は、政権の移民政策への懸念が何年も続いたあとで、海外の購入者により歓迎的なシグナルとなり得ます。それがマンハッタンとマイアミへの関心を後押しする可能性があります。移民政策を決めるのは引き続き政権ですが、有権者が示したシグナルは別の方向を向いています。
結果を受けて、ドルも小幅に下落しました。この動きが続けば、ユーロやポンドなど、値を上げている通貨で購入資金を用意する購入者は購買力が高まります。政治的な心理の変化よりも直接的な金銭的メリットですが、いずれも購入が再び活発になった証拠にはまだなっていません。
戦争も無関係ではありません。11月4日には、イラン戦争を終わらせるよう求める圧力が強まるとの観測から、原油が8%超下落し、副大統領は選挙での敗北の責任を戦争に求めました。民主党が主導する議会は、ウクライナへの支援拡大を求める可能性もあります。ただし、どちらの動きも早期の決着を保証するものではありません。私たちの購入者にとって、潜在的なメリットは二通りです。原油安がインフレと利回りへの圧力を和らげる可能性があること、そして地政学的な不透明感が薄れれば、様子見を続けてきた購入者の一部が戻る可能性があることです。
関税は、選挙による変化が世間の見方よりも小さい分野の一つです。連邦最高裁判所は、IEEPAに基づいて課された緊急関税を2月にすでに無効と判断しています。建設に関わる鉄鋼とアルミニウムの関税は、通商拡大法232条(Section 232 of the Trade Expansion Act)に基づいて課されたもので、現在も続いています。議会の勢力図が変わっても、それが自動的に撤廃されるわけではありません。建設資材の価格は前年より約11%高い水準にあり、銅線は20%を超えて上昇しています。請負業者団体は、値上がりのかなりの部分をイラン戦争に伴う燃料費に結びつけています。さらに、関税が引き下げられても、それを理由に値上げした供給業者が値上がり分を必ず戻すとは限りません。値上がりの一部は建設コストに定着します。したがって、関税の緩和があったとしても、それは今後の値上がりを抑える程度にとどまり、新規開発の建設費を大きく下げるまでには至らない可能性があります。
マンハッタン
供給:最上位クラスの希少性
選挙によって、マンハッタンのアパートメントが1戸増えることも減ることもありません。Corcoranの集計では、第三四半期の販売中物件はわずか6,354件で、第三四半期としては2017年以来の低い供給水準です。スポンサー、つまり新築開発物件の在庫は、2012年第四四半期以来の低さです。火曜日の結果が、短期的にこの状況を変えることはありません。詳しい内訳は、当社のマンハッタンQ3市場レポートをご覧ください。
だからといって、すべてのアパートメントが希少なわけではありません。購入者に実際にどれだけの選択肢があるかは、物件の状態、建物、エリア、価格によって今も決まります。直接の競合が少ない仕上がり済みの住戸は価格を維持できる一方、大規模な改装が必要な住戸は売れ残ります。ただし、高級市場はエントリークラスの市場よりもはるかに好調なため、マンハッタン全体の数字では、私たちの購入者が探している価格帯の力強さが見えにくくなることがあります。
需要:金利とピエダテール付加税
連邦レベルの大型税制改正は実現しにくいとみられるため、それに先んじて取引を急ぐ理由は購入者にはほとんどありません。
トロフィー層より下の価格帯では、ジャンボローンや運用資産を担保とする与信枠を利用する購入者にとって、金利は今も重要です。Freddie Macが発表する30年固定住宅ローンの週平均金利は、11月5日時点で7.18%に低下し、三週連続の低下となりました。Mortgage News Dailyによれば、30年ジャンボローンの金利は7.40%です。融資環境は改善しつつありますが、借入コストは依然として高い水準にあります。利回りが低い水準にとどまり、実際の借入条件の改善が続けば、融資を使う高級物件の購入には小さな追い風になります。反発すれば、その追い風は消えます。
セカンドホームの需要に、より直接的で差し迫った影響を与えているのは、地元の制度です。7月1日に施行されたピエダテール付加税は、対象となる主たる住居以外の住宅に、おおよその市場価値が500万ドル以上の場合、毎年の費用を加えます。どのアパートメントが対象になるかを決める市の計算式は複雑で、売出価格からは推測できません。特定の住戸にどう適用されるかは、当社のニューヨーク市ピエダテール税ガイドでご確認ください。所有者は、付加税を支払うか、物件の用途を変更するか、免除の要件を満たすか、売却するかを比較検討する必要があります。賃貸という選択肢が成り立つのは、建物が賃貸を認めており、その形態が免除の要件を満たす場合に限られます。
Corcoranは、第三四半期に500万ドルを超える契約の締結を162件と集計しました。内訳は7月が53件、8月が52件、9月が57件です。7月は前年同月比で2%増、8月は13%増、9月は横ばいでした。これらの数字は、その価格帯のすべての購入者を対象としており、セカンドホームの購入者に限ったものではないため、付加税の影響だけを切り分けるものではありません。ただし、施行後も高級物件の取引が続いたことは示しています。
私の見解では、延長されない限り2031年6月まで続くこの付加税は、一部の購入者にとって交渉に臨むもう一つの理由となります。そして、火曜日の選挙がこの費用を今日変えるわけではありません。ただし、付加税があるからといって、個々の売主がどこまで譲歩すべきかが決まるわけではありません。それは、年間の負担額、代替案、そして売主の立場次第です。
外部要因:アルバニーの次期予算
ニューヨーク州の選挙も注目に値します。Kathy Hochul知事が再選され、非公式の集計では、民主党は上院で3分の2の超多数を取り戻し、下院でもそれを維持しています。これは、さらなる増税が来るという意味ではありません。ただ、連邦レベルの膠着状態があっても、アルバニーでの変更からは守られないということです。マンハッタンの所有者や、フロリダへの移住を検討する購入者にとっては、ワシントンの党派の分裂よりも、次の州予算のほうが直接的に重要です。
マイアミ
供給:現在は逼迫、新しいタワーが控える
選挙は、マイアミの高級物件の在庫を変えません。ウォーターフロントの土地は限られたままで、完成済みの超高級コンドミニアム市場は、ごく一部の建物に集中しています。当社のQ3レポートによれば、1,000万ドル以上のコンドミニアムの成約は11棟でわずか15件にとどまり、うち5件がThe Surf Clubでした。これは、取引がいかに集中しているかを示すものであり、在庫がどれだけあるかを示すものではありません。
次世代の超高級コンドミニアムは今も建設が進められており、いくつかのプロジェクトは2027年から2030年にかけて引き渡しが予定されています。こうした引き渡しは、火曜日の選挙よりも直接的に、購入者の選択肢を変えます。また、関税が緩和されても、建設価格は供給業者がすでに転嫁した値上がり分を保持し、再調達コストが高止まりする可能性があります。
需要:税の継続性とニューヨークからの流入
フロリダ州の選挙は、方向転換よりも継続性を示しています。共和党のByron Donalds氏が知事に当選し、共和党は上下両院を維持しました。ただし、下院では3分の2の超多数を失い、上院の超多数は接戦の選挙区の結果次第で、まだ見通せない状況でした。私は、ビジネスに友好的で税負担の軽いフロリダの位置づけは維持され、議会が単独で動ける余地にはより多くの制約がかかると見ています。移住を考える購入者にとって、今回の選挙は、州の最大の魅力である州所得税がないことを変えていません。
ニューヨークのピエダテール付加税は、フロリダに移りながら評価額500万ドル以上のマンハッタンのアパートメントを保有し続ける購入者にとって、別の検討事項となります。そのアパートメントが付加税の対象となる場合、この年間の追加費用は、手放さずに持ち続けるか、滞在時には賃貸に回すか、売却するかの判断に影響し得ます。両方の都市で所有をあきらめなければならないという意味ではありません。税額の計算は、当社のニューヨークとマイアミの比較で順を追って解説しています。
MIAMI Realtorsによれば、2026年上半期のマイアミ圏における州外購入者のうち、ニューヨーカーは34%を占めました。最上位層では、1,000万ドル以上の住宅の成約が第三四半期に29件から38件へ増え、同価格帯のコンドミニアムの成約は17件から15件へ減りました。すぐに入居でき、土地も付く物件を求める購入者は住宅に傾いています。一方、最上位層のコンドミニアムの購入者の一部は、2027年から2030年にかけての新規引き渡しの波を待つか、築年の古い建物の修繕積立金とマイルストーン要件を精査しています。
海外の購入者も、流れを左右する要素の一つです。より歓迎的な政治的シグナル、ドル安による購買力の向上、海外の不透明感の後退は、欧州やラテンアメリカからの需要を支える可能性があります。その証拠が現れるのは契約においてであり、選挙結果そのものではありません。
この市場の一部では、住宅ローンへの直接的な依存度は低くなっています。昨年、マイアミで100万ドルを超えるコンドミニアムの売買のうち、80%超が全額現金でした。こうした購入者も、運用資産の価値、為替レート、そして資金を不動産に投じることで手放す運用収益の影響は受けます。
外部要因:修正第3号と保有コスト
フロリダの有権者は、修正第3号も約62%の賛成で承認しました。所有コストに直接影響する決定です。学校関連以外の税に対するホームステッド控除は、2027年に150,000ドル、2028年に250,000ドルに引き上げられ、対象となるホームステッド対象外の不動産に対する年間の評価額上昇率の上限は、10%から5%に引き下げられます。
2026年12月31日までにフロリダの恒久的な居住の実態を確立していない人には、より高い控除の適用資格について異なるルールが適用され、一般に、より高い控除を受けられるのは、控除の適用を受ける五年目からです。すでに移住を計画している場合は、この日付に注意が必要です。この控除が減らすのは課税対象額であり、税額が1ドル単位でそのまま減るわけではありません。1,000万ドルの住宅で見込まれる節税額は、判断の材料にする前に計算しておくべきです。
購入者は、購入後の税額の見積もりも必要です。売主の税額には、売却後は引き継がれない評価額の制限が反映されている場合があります。将来の評価額上昇率の上限が低くなることは、買主が売主の評価額を引き継ぐという意味ではありません。
そのほかのコストは、物件と建物によって決まります。住宅の場合は、契約を決める前に保険の見積もりを取り、風災と洪水の補償内容を把握してください。コンドミニアムの場合は、修繕積立金の調査、マイルストーン検査、保険、特別徴収金の履歴、予定されている工事も価格の一部です。住戸の交渉に入る前に、これらに目を通してください。
市場動向の裏にある物件を見る
マンハッタンで希少なトロフィー物件についてさらに知るには、販売中のニューヨーク・ペントハウス トップ50と、マンハッタンのトロフィー物件需要の分析をご覧ください。マイアミの今後の引き渡しの見通しについては、マイアミの新築開発をご覧ください。
選挙後、2027年に向けてすべきこと
選挙は、いくつかの期待を変えます。それでも、物件そのものが成り立っていなければなりません。
フロリダへの移住後も、評価額500万ドル以上のマンハッタンのアパートメントを保有し続けるおつもりなら、付加税が適用されるかを確認し、ご予定の使い方に基づいて年間のコストを計算してください。そのうえで、ニューヨークの居住者資格について税務アドバイザーにご相談ください。ご希望でしたら、当社から紹介いたします。フロリダに本拠を置いても、ニューヨークの所得税上の居住者資格が必ずしも終わるわけではありません。
マンハッタンを主たる住まいとされる場合は、アパートメントの状態、保有コスト、その建物内の競合に目を向けてください。融資環境の持続的な改善は、お客様の価格帯により多くの購入者を呼び込む可能性があります。一方で、利回りの一時的な低下は、売出価格を追いかける理由にはなりません。
マイアミの住宅をご購入の場合は、早い段階で、インスペクション、保険、購入後の税額の見積もりを用意しておいてください。マイアミのコンドミニアムをご購入の場合は、競合する住戸と、建物の将来の費用の両方を見据えて交渉してください。
売主の方にとって、選挙は背景であり、比較対象となる成約事例ではありません。価格は、現在の競合物件と、契約の締結状況を踏まえて設定してください。付加税の対象となるマンハッタンのセカンドホームの売主は、それについて説明できるよう備えておく必要があります。マイアミのコンドミニアムの売主は、修繕積立金、保険、特別徴収金に関する質問に答えられるよう備えておく必要があります。
2027年に向けて私が注目したいのは、住宅ローン金利が実際に下がるのか、海外からの関心が契約の締結につながるのか、そしてアルバニーとタラハシーの次期予算が所有コストに何をもたらすのか、という点です。選挙が両市場の実質的な変化となり得るのは、こうした経路を通じてです。残念ながら、供給は氷河のような速さでしか動きません。
よくあるご質問
2026年の中間選挙は、2027年のマンハッタンの不動産価格に影響しますか?
選挙が、マンハッタンで購入できる住宅の供給を直接変えることはありません。影響があるとすれば、金融市場、借入コスト、連邦政策、購入者の信頼感を通じて現れます。高級物件では、競合する在庫、建物の品質、適用される保有税のほうが、より差し迫って重要になる場合があります。
2026年の選挙は、マイアミの高級不動産に追い風となりますか?
金融市場の安定、有利な為替レート、海外からの信頼が需要を支えれば、マイアミは恩恵を受ける可能性があります。選挙だけで価格が上昇すると言えるわけではありません。新築コンドミニアムの引き渡し、保険、固定資産税、契約の締結状況のほうが、より有用な指標となります。
ニューヨークの購入者は、2027年より前にフロリダへ移るべきですか?
フロリダの修正第3号により、居住の時期とホームステッド控除の適格性は確認しておく価値があります。フロリダに本拠を置くことは、不動産を購入するだけでは成り立たず、ニューヨークの居住者要件も引き続き関わります。期限を軸に判断する前に、資格のある税務アドバイザーにご相談ください。
2027年は、マンハッタンやマイアミで高級不動産を購入する好機ですか?
それは、物件、競合する在庫、融資、保有期間によって異なります。マンハッタンの購入者は希少性と保有税を、マイアミの購入者は将来の供給、保険、コンドミニアムの保有コストを見極める必要があります。どちらの市場も、選挙結果だけで評価すべきではありません。
一般的な情報であり、税務、法務、投資に関する助言ではありません。選挙結果、法律、市場データは2026年11月5日時点のもので、変更される場合があります。